家賃の入金確認|通帳とエクセルの往復をやめる

野口 真一(大家One 運営者)
母がマンション2棟を経営。その管理を間近で見てきた経験から賃貸管理SaaS『大家One』を開発・運営しています。
毎月25日を過ぎたあたり。通帳記入をして、エクセルを開いて、上から順に部屋番号と金額を照合していく。あの作業をしているとき、「これ、いつまで続けるんだろう」と思ったことはないでしょうか。
私の母はマンションを2棟経営する個人大家で、月末になると通帳とノートを何度も往復しながら照合していました。家賃の入金確認は、大家の仕事のなかで最も地味で、最も間違えると痛い作業です。この記事では、なぜこの作業がここまで面倒なのかを構造から整理したうえで、負担を減らす方法を紹介します。
この記事でわかること。
- 入金確認に時間がかかる本当の理由
- エクセル管理で見落としが起きる典型的な3パターン
- 通帳とエクセルの往復をやめる方法
家賃の入金確認は、なぜこんなに面倒なのか
作業自体は単純です。入金があったかどうかを確認するだけ。それなのに毎月一時間、戸数によっては半日かかる。理由は、この作業が実は「照合」ではなく「翻訳」だからです。
通帳の情報と、大家が知りたい情報がずれている
通帳に並んでいるのは、日付・振込名義・金額です。一方で大家が知りたいのは、「どの部屋が払ったか」です。この2つは直接つながっていません。
つまり毎月、通帳の「振込名義と金額」を、頭のなかで「部屋番号」に翻訳する作業をしているわけです。入居者の名前と部屋番号を全部覚えていれば早いのですが、戸数が増えれば当然無理が出ます。
例外が毎月必ず発生する
さらに厄介なのは、この翻訳作業に例外が混ざることです。
家賃が満額ではなく端数が違う。共益費だけ別に振り込まれている。入居者本人ではなく親御さんや勤務先の名義で入っている。月末が土日にあたって入金が翌営業日にずれる。前の月の不足分と今月分がまとめて入っている。
こうした例外は毎月どれか必ず起きます。そして例外が出るたびに、契約書を確認したり、過去の履歴を遡ったりすることになる。時間がかかるのは、この確認作業のほうです。
「入っていないこと」の確認が一番手間
もう一つ。入金があったことの確認より、入金がなかったことの確認のほうが手間がかかります。
入金があった部屋は、通帳を見れば分かります。しかし「入っていない部屋」は通帳のどこにも書かれていません。全戸のリストと突き合わせて、消し込まれずに残ったものを探すという引き算をしないと出てきません。この引き算を毎月正確にやり切るのが、実は一番しんどいところです。
エクセル管理で見落としが起きる3つのパターン
多くの大家さんがエクセルで家賃台帳をつくっています。エクセル自体は優秀ですが、家賃管理に使うと特有の穴が生まれます。代表的なものが3つあります。
パターン1:転記ミス
通帳を見ながらエクセルに入力する過程で、行を1つずらす、金額の桁を間違える、別の部屋の欄に入れてしまう。特に戸数が多いと、スクロールしながらの入力になるため、行ズレは起きやすくなります。
厄介なのは、転記ミスは後から気づきにくいことです。入力した本人がもう一度見直しても、同じ思い込みで同じ場所を見てしまいます。
パターン2:繰越漏れ
先月の未入金を今月のシートに引き継ぐ作業を忘れるパターンです。月ごとにシートを分けている場合に起こりやすくなります。
先月「未入金」だった部屋が、新しいシートでは空欄からスタートする。今月分だけを見ていると、その部屋は「今月まだ入っていない」ようにしか見えず、2ヶ月分溜まっていることに気づけません。滞納の発見が遅れる典型的な原因です。
パターン3:請求漏れの見落とし
これが最も見つけにくいパターンです。
入金がない理由には、入居者が払っていないケースと、そもそも自分が請求を出していないケースの2つがあります。ところがエクセルの台帳は、たいてい「入金があったか」しか記録していません。請求を出したかどうかの欄がないため、この2つを区別できないのです。
区別できないまま督促に進むと、請求書を送っていない入居者に「家賃が滞納しています」と連絡してしまうことになります。実際にこれは起こります。ある物件で期日超過の請求を確認したところ、5件のうち3件は請求そのものが未発行だった、という例もあります。
入金確認の作業は、「誰が払っていないか」を出すだけでは足りません。「なぜ入っていないのか」まで切り分けられて、はじめて次の行動につながります。
入金確認の負担を減らす3つのアプローチ
では、どうすればいいか。現実的な選択肢は3つあります。
① 通帳を「読みやすくする」
振込名義を部屋番号に近づけてもらう方法です。契約時や更新時に、振込依頼人名の先頭に部屋番号を入れてもらうようお願いする(例:「0203 ヤマダタロウ」)。これだけで翻訳作業がかなり楽になります。
ただし、すでに入居している方全員に協力してもらうのは現実的に難しく、新規契約から少しずつ、という進め方になります。
② 口座振替に切り替える
集金代行サービスを使い、口座振替に統一する方法です。入金日が揃い、明細も部屋単位で出るため、確認作業は大きく軽くなります。
一方で、手数料が1件あたり数十円から数百円かかること、入居者に振替の申込手続きをしてもらう必要があることがハードルになります。既存入居者の切り替えには時間がかかります。
③ 管理ツールを使う
家賃台帳をエクセルからツールに移す方法です。請求と入金が同じ場所で管理されるため、先ほどの「請求漏れの見落とし」が構造的に起きにくくなります。
ただし従来の賃貸管理ソフトは管理会社向けにつくられており、小規模な自主管理の大家さんには機能が多すぎて、操作を覚えるほうが負担になるという問題がありました。
チャットで「今月の未入金は?」と聞くだけにする
3つ目のアプローチの、操作を覚える負担をなくしたのが大家One です。
大家One は、お使いの AI チャットにつなぐと、話しかけるだけで家賃の状況を確認できます。管理画面を開いてメニューを探す必要がありません。知りたいことを、そのまま日本語で聞きます。
以下は実際に返る内容をもとに再現した会話例です。画面はイメージで、物件名は架空、金額・日付はサンプルです。実際の言い回しや表の形は、お使いの AI サービスや聞き方によって変わります。
例1:今月の未入金をまとめて出す
「今月の未入金を教えて」と入力すると、入金が確認できていない部屋が一覧で返ってきます。
大家One に問い合わせていますlist_invoices
8月分で入金が確認できていないのは 3 件、合計 ¥186,000 です。
| 物件 | 部屋 | 金額 | 支払期日 | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| グリーンハイツA館 | 201号室 | ¥68,000 | 8月27日 | 未入金 |
| グリーンハイツB館 | 102号室 | ¥54,000 | 8月27日 | 未入金 |
| サンライズコートC館 | 401号室 | ¥64,000 | 8月27日 | 未請求(請求書が未発行) |
サンライズコートC館 401号室は、請求書がまだ発行されていません。督促の前に請求を出したほうがよさそうです。
通帳とエクセルの往復も、引き算も必要ありません。知りたい結果だけが返ってきます。
例2:部屋を指定して、その場で確認する
部屋を指定して聞くこともできます。思いついたときに一言聞くだけです。
大家One に問い合わせていますlist_invoices
入金済みです。
グリーンハイツA館 305号室/8月分
- 請求額:¥72,000
- 入金日:8月24日
- 入金額:¥72,000(差額なし・消込済)
入居者の氏名は表示されません。大家One が AI に渡す情報からは、氏名・電話番号・住所といった個人情報がそもそも取り出せない作りになっているためです。AI から見た入居者は「201号室さん」のような部屋の呼び名です。
例3:複数の物件をまたいで確認する
物件を複数お持ちの場合、エクセルだと物件ごとにファイルが分かれているため、全体像を把握するだけでひと手間かかります。チャットなら、物件を横断した質問もそのまま通ります。
大家One に問い合わせていますlist_invoices
8月分の未入金は全物件で 3 件、合計 ¥186,000 です。物件別の内訳は次のとおりです。
| 物件 | 未入金の件数 | 金額 |
|---|---|---|
| グリーンハイツA館 | 1件 | ¥68,000 |
| グリーンハイツB館 | 1件 | ¥54,000 |
| サンライズコートC館 | 1件 | ¥64,000 |
| 合計 | 3件 | ¥186,000 |
同じ部屋番号が複数の物件にある場合も、どちらの物件かを含めて回答されるため、取り違えが起きません。
「請求漏れ」も同時にわかる
大家One は請求と入金を同じ場所で管理しているため、入金がない理由が「入居者が払っていない」のか「請求を出していない」のかを、状態として区別して表示します。例1の表で、サンライズコートC館 401号室だけ「未請求」と出ているのがそれです。
督促状を送るべき部屋と、先に請求を発行すべき部屋が、聞いた時点で分かれます。滞納が見つかったあとの対応については、家賃滞納の督促、送る前に確認すべきことで段階別の文例とあわせて解説しています。
AI チャットとのつなぎ方や、ほかにどんなことが聞けるのかは賃貸管理AIチャットのページにまとめています。もちろん、AI を使わずブラウザの画面だけで一通りの管理を行うこともできます。
まとめ
家賃の入金確認が面倒なのは、大家さんの手際が悪いからではありません。通帳の情報と、知りたい情報の形が違うことが原因です。
- 入金確認は「照合」ではなく「翻訳」。だから時間がかかる
- エクセル管理では、転記ミス・繰越漏れ・請求漏れの見落としが起きやすい
- 「入っていない部屋」を毎月正確に洗い出すのが、一番しんどい作業
- 振込名義の工夫、口座振替、管理ツールという3つの対処法がある
毎月一時間かけていた作業が、一言聞くだけで終わるなら、その時間は空室対策や物件のメンテナンスに回せます。
よくある質問
何戸くらいからエクセル管理がつらくなりますか?
明確な線はありませんが、10戸前後から見落としが出始めるという声が多いようです。ただし戸数より、物件が複数に分かれているかどうかのほうが影響が大きく、2物件目を持った時点で負担が急に増えます。
通帳の入金を自動で取り込めますか?
金融機関の明細を取り込む仕組みを持つサービスもあります。ただし振込名義と部屋番号の紐づけは最終的に人の確認が必要になる場面が多いため、「完全自動」を期待しすぎないほうが実務的です。
入金確認は月に何回やるべきですか?
支払期日の翌営業日に1回、月末に1回の計2回を目安にする方が多いようです。期日直後の確認で「うっかり忘れ」を拾い、月末の確認で本当の滞納を確定させる形です。
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