家賃滞納の督促|段階別の文例と請求漏れ対策

大家One 代表 野口 真一

野口 真一大家One 運営者

母がマンション2棟を経営。その管理を間近で見てきた経験から賃貸管理SaaS『大家One』を開発・運営しています。

通帳を開いて入金を確認していて、「あれ、この部屋、今月入っていない」と気づいたとき。あの落ち着かない感じは、自主管理をしている大家さんなら一度は経験があると思います。

すぐ連絡すべきか、もう少し待つべきか。強く言って関係が悪くなるのも避けたい。この記事では、家賃滞納が起きたときの対応を、発生からの経過期間ごとに文例つきで整理します。あわせて、やってはいけない督促と、督促を送る前に必ず確認しておきたいことも扱います。

この記事でわかること。

  • 滞納発生から1週間・1ヶ月・3ヶ月、それぞれの段階でやるべきこと(文例つき)
  • 違法になりかねない「やってはいけない督促」
  • 督促状を送る前に確認すべき、意外な落とし穴

家賃滞納が起きたら、まず何をするか

滞納対応で大事なのは、早さよりも順番です。

気づいた瞬間に督促状を送りたくなりますが、いきなり書面が届くと入居者は身構えます。単なる振込忘れだった場合、その後の関係がぎくしゃくして、次の更新のときに退去されるということも起こります。それに、後述するように「そもそも自分が請求を出していなかった」というケースも実際にあります。

督促の前に確認する3つのこと

① そもそも請求は発行済みか

意外に見落とされますが、まずここです。請求書を送っていない、あるいは自動振替の登録が済んでいないのに「入金がない」と判断してしまうと、自分のミスで入居者を責めることになります。詳しくは記事の後半で扱います。

② 入金はあったが、金額や名義が違っていないか

一部だけ入金されている、家族や勤務先の名義で振り込まれている、といったケースは珍しくありません。通帳を「部屋番号」ではなく「金額」で照合していると、名義違いの入金は見落とします。

③ 連帯保証人・家賃保証会社の契約はあるか

家賃保証会社を使っている場合、督促は保証会社が行い、大家が直接連絡すると二重対応になることがあります。契約書を確認し、保証会社ありなら、まずそちらに連絡するのが原則です。

段階別・家賃滞納の督促方法と文例

ここからは、期日を過ぎてからの経過期間ごとに、実際の対応と文例を紹介します。

期日から3日〜1週間|「うっかり」を前提に、軽く連絡する

この段階の滞納は、その大半が振込忘れや残高不足です。相手を疑うトーンで連絡すると、こちらが損をします。

意識したいのは次の3点です。短く書くこと。責める言葉を使わないこと。そして「行き違いでしたら失礼しました」の一文を必ず添えること。この一文があるだけで、受け取る側の印象はまったく変わります。

文例1:SMS・LINE・メールで送る場合

○○様

いつもお世話になっております。△△(物件名)の管理をしております□□です。

○月分の家賃について、本日時点で入金の確認ができておりませんでした。お手数ですが、ご確認いただけますでしょうか。

行き違いでご入金済みでしたら、何卒ご容赦ください。

電話は文面と違って記録が残りませんが、この段階ではむしろ有効です。「請求の話」ではなく「確認の連絡」というトーンで切り出します。

文例2:電話で伝える場合

「お世話になっております、△△の□□です。○月分のお家賃なんですが、こちらで入金の確認ができていなくて、行き違いかもしれないのでご連絡しました。お心当たりありますか」

このとき、いつまでに入金してもらえるかを口頭で確認し、その日付を必ずメモに残しておいてください。次の段階に進むかどうかの判断材料になります。

2週間〜1ヶ月|書面で記録を残し始める

1週間経っても入金がない、あるいは約束した日を過ぎた場合は、書面に切り替えます。理由は2つあります。相手に本気度が伝わること、そして後々のために記録が残ることです。

口頭でのやり取りだけだと、万一法的手続きに進んだとき「督促した」という事実を証明できません。この段階から書面を残す習慣をつけておくと、後で必ず役に立ちます。

文例3:督促状(普通郵便)

令和○年○月○日

○○ ○○ 様

賃料お支払いのお願い

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、下記のとおり賃料のご入金が確認できておりません。ご多用のところ恐れ入りますが、○月○日までに下記口座へお振り込みくださいますようお願い申し上げます。

なお、本状と行き違いにご入金いただいております場合は、何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

敬具

  • 物件名:△△ ○○号室
  • 対象月:令和○年○月分
  • 金額:金○○,○○○円
  • お支払期限:令和○年○月○日
  • 振込先:○○銀行 ○○支店 普通 ○○○○○○○ 口座名義 ○○○○

以上

賃貸人:□□ □□/連絡先:○○○-○○○○-○○○○

督促状は、対象月・金額・期限・振込先の4点を必ず明記します。「至急お支払いください」だけでは、相手はいつまでにいくら払えばいいのか分かりません。

連帯保証人への連絡を検討する目安は、滞納1ヶ月です。ただし本人に何の連絡もせずいきなり保証人に連絡するのは避けてください。「○日までにご入金がない場合、連帯保証人様にご連絡いたします」と本人に予告してから進めるのが、トラブルを避ける進め方です。

2ヶ月〜3ヶ月|内容証明郵便と、契約解除の視野

2ヶ月を超えると、対応の質を変える必要があります。ここからは内容証明郵便を使います。

内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に・どんな内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれる制度です。文書の内容そのものが正しいと証明されるわけではありませんが、「催告した」という事実を確実に残せます。

文例4:催告および契約解除予告(内容証明郵便)

催告書

令和○年○月○日

○○ ○○ 殿

前略 貴殿は、下記物件につき令和○年○月分から令和○年○月分までの賃料合計金○○○,○○○円のお支払いを怠っております。

つきましては、本書面到達後7日以内に上記賃料全額を下記口座へお支払いくださいますよう催告いたします。

万一、上記期間内にお支払いいただけない場合は、改めての通知を要することなく、本書面をもって賃貸借契約を解除いたしますので、その旨申し添えます。

草々

(物件の表示・金額・振込先・当事者の住所氏名を記載)

出し方は、郵便局の窓口で出す方法と、Web上で完結する「e内容証明」があります。窓口の場合は同じ文書を3通用意します(相手方用・郵便局保管用・差出人控え)。費用は文書の枚数によりますが、配達証明をつけて2,000円前後が目安です。

なお、賃料の滞納だけを理由に即座に契約解除ができるわけではありません。裁判実務では、貸主と借主の「信頼関係が破壊された」と言えるかどうかで判断され、その目安として滞納3ヶ月程度が一つのラインとされることが多いとされています。ただしこれは事案ごとの個別判断です。実際に解除や明渡しを検討する段階では、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。手続きの全体像は家賃滞納の対応手順|督促から明渡しまでの流れで、裁判所・法務省などの一次情報をもとに解説しています。

やってはいけない督促(自力救済の禁止)

滞納が長引くと、つい強い手段に出たくなります。しかし次の行為は、法的に「自力救済」として禁じられており、大家側が損害賠償を請求される可能性があります。

  • 部屋の鍵を交換して入れなくする
  • 室内の家財を勝手に運び出す、処分する
  • 玄関ドアに督促の貼り紙をする(プライバシー侵害にあたりえます)
  • 深夜や早朝に訪問する、長時間居座る
  • 大声を出す、勤務先に押しかける

たとえ相手に非があっても、これらは正当化されません。滞納の回収は、あくまで契約解除と明渡し請求という法的な手続きを通して進めるのが原則です。

滞納対応で一番怖いのは「気づくのが遅れること」

ここまで督促の方法を見てきましたが、実は滞納対応で最も損失が大きいのは、督促の文面が下手だったことではありません。発見が遅れることです。

1ヶ月の遅れが3ヶ月分の損失になる

滞納は放置するほど額が膨らみ、回収の難易度が上がります。1ヶ月時点で連絡していれば1ヶ月分で済んだものが、気づくのが2ヶ月遅れれば3ヶ月分になります。しかも、そこまで積み上がると入居者側も払える金額ではなくなり、結局は退去と明渡しの話に発展します。

問題は、エクセルと通帳の突合という方法が、戸数が増えるほど見落としを生む構造になっていることです。10戸を超えたあたりから、毎月すべての部屋を1件ずつ照合するのは現実的に難しくなります。「たぶん入っていたはず」で流した部屋が、実は3ヶ月止まっていた、ということが起こります。

実は「滞納」ではなく「自分の請求漏れ」だったケース

ここで、実際にあった例を紹介します。

ある大家さんが入金状況をまとめて確認したところ、支払期日を過ぎている請求が5件見つかりました。金額にして合計32万円ほど。一見すると滞納が5件発生している状態です。

ところが内訳を見ると、そのうち3件は請求そのものが発行されていませんでした。入居者が払っていないのではなく、大家側が請求を出していなかったのです。

もしこの5件すべてに督促状を送っていたら、どうなっていたか。3件の入居者は、請求書も受け取っていないのに「家賃を滞納しています」という書面を受け取ることになります。これは信頼関係にとって、滞納そのものよりも大きなダメージです。実際に督促が必要だったのは、残る2件だけでした。

「滞納を見つける」作業と「自分の請求漏れを見つける」作業は、同じことの裏表です。入金がない理由が相手側にあるのか自分側にあるのかを切り分けないまま督促に進むのは、かなり危うい進め方だと言えます。

チャットで「滞納ある?」と聞くだけで確認する方法

では、どうすれば毎月この確認を無理なく続けられるか。

大家One は、お使いの AI チャットにつなぐと、話しかけるだけで賃貸管理の情報を確認できます。管理画面を開いて、メニューを探して、条件を指定して……という操作が要りません。

以下は実際に返る内容をもとに再現した会話例です。画面はイメージで、物件名は架空、金額・日付はサンプルです。実際の言い回しや表の形は、お使いの AI サービスや聞き方によって変わります。

例1:期日を過ぎている請求を一覧で出す

大家さんの質問:先月分で、支払期日を過ぎているものを教えて

大家One に問い合わせていますlist_invoices

AI の回答:

7月分で支払期日を過ぎているのは 5 件、合計 ¥320,000 です。

7月分で支払期日を過ぎている請求の一覧
物件部屋金額支払期日状態
グリーンハイツA館201号室¥68,0007月27日未入金
グリーンハイツA館305号室¥72,0007月27日未請求(請求書が未発行)
グリーンハイツB館102号室¥54,0007月27日未請求(請求書が未発行)
サンライズコートC館401号室¥64,0007月27日未入金
サンライズコートC館205号室¥62,0007月27日未請求(請求書が未発行)

このうち 3 件は請求書がまだ発行されていません。督促の前に請求の発行が必要です。

先ほどの例で言えば、この時点で5件が表示されます。さらに、そのうちどれが「未請求」の状態なのか、つまり請求漏れなのかまで、状態の列に示されます。

例2:督促すべき部屋と、先に請求すべき部屋を分ける

大家さんの質問:そのうち、請求を出していないのはどれ?

大家One に問い合わせていますlist_invoices

AI の回答:

次の2つに分かれます。

期日超過5件の内訳(未請求と未入金)
次にやること件数金額
先に請求書を発行する(未請求)3件¥188,000
督促を検討する(請求済みだが未入金)2件¥132,000
合計5件¥320,000

先に請求書を発行する部屋

  • グリーンハイツA館 305号室(¥72,000)
  • グリーンハイツB館 102号室(¥54,000)
  • サンライズコートC館 205号室(¥62,000)

督促を検討する部屋

  • グリーンハイツA館 201号室(¥68,000)
  • サンライズコートC館 401号室(¥64,000)

督促状を送るべき2件と、先に請求を発行すべき3件が、聞いた瞬間に分かれます。この切り分けを手作業でやろうとすると、請求書の控えと通帳を両方ひっくり返す必要があります。

なお、回答に入居者の氏名は出てきません。大家One が AI に渡す情報からは、氏名・電話番号・住所といった個人情報がそもそも取り出せない作りになっているためです。AI から見た入居者は「201号室さん」のような部屋の呼び名です。

例3:複数の物件をまたいで一度に確認する

物件を複数お持ちの場合、確認作業はさらに面倒になります。物件ごとに帳簿を分けていると、全体でいくら滞納があるのかを把握するだけでひと仕事です。チャットなら、物件を横断した確認もそのまま聞けます。

大家さんの質問:全部で、いま滞納はいくらある?

大家One に問い合わせていますlist_invoices

AI の回答:

全3物件で期日を過ぎているのは 5 件、合計 ¥320,000 です。うち請求書が未発行のものが 3 件(¥188,000)、請求済みで入金がないものが 2 件(¥132,000)です。

滞納として督促の対象になるのは ¥132,000 分です。

つなぎ方やほかに聞けることは賃貸管理AIチャットのページにまとめています。毎月の入金確認そのものを軽くする方法は家賃の入金確認|通帳とエクセルの往復をやめるで解説しています。

まとめ

家賃滞納の督促について、押さえておきたい点を整理します。

  • 督促は段階を踏む。1週間は軽い確認、1ヶ月で書面、2〜3ヶ月で内容証明
  • 鍵の交換や家財の撤去といった自力救済は、絶対に行わない
  • 契約解除や明渡しを検討する段階では、専門家に相談する
  • 督促の前に、自分の請求漏れがないかを必ず確認する
  • そして最大の対策は、滞納に早く気づける状態をつくっておくこと

文例をどれだけ用意しても、滞納に気づくのが3ヶ月後では手遅れです。毎月の入金確認を、負担にならない形で続けられる仕組みをつくることのほうが、長い目で見れば効きます。

よくある質問

家賃滞納は何ヶ月で契約解除できますか?

賃料滞納のみを理由とする解除は、貸主と借主の信頼関係が破壊されたと認められるかで判断されます。滞納3ヶ月程度が一つの目安とされることが多いですが、事案ごとの個別判断となるため、実際に解除を検討する際は弁護士等にご相談ください。

督促状は内容証明郵便で送るべきですか?

滞納1ヶ月程度までは普通郵便で十分です。内容証明は「催告した事実を証明する」ためのもので、契約解除を視野に入れる段階(おおむね2ヶ月以降)で使うのが一般的です。

連帯保証人にはいつ連絡すればよいですか?

滞納1ヶ月が目安です。ただし、本人に「○日までにご入金がない場合は連帯保証人様にご連絡します」と予告してから連絡するほうが、トラブルになりにくくなります。

家賃保証会社を利用している場合はどうなりますか?

多くの場合、督促は保証会社が行います。大家が直接督促すると二重対応になることがあるため、まず契約内容を確認し、保証会社に連絡してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の事案については、弁護士等の専門家にご相談ください。

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